今回は成長期に起こる腰痛の中に潜んでいる「腰椎分離症」という疾患を説明致します。
成長期のスポーツ活動での腰痛の内、30%ほどが今回のテーマである「腰椎分離症」とのデータもあるほど意外と多くまた、見逃されていますので早期発見のためにも参考にして頂けたらと思います。
先ず、分離症が起こりやすい年代ですが、中学生から高校生までの10代に起こることが多いです。
この年代に起こる理由ですが、まだ体の骨が完全には成長しておらず、頑丈な骨になりきっていない部分が腰椎(腰骨)にあります。尚且スポーツ活動が激しくなってくる年代でもあり、それらが重なり痛めてしまうことにつながります。
「腰椎分離症」とは、名の通り「腰椎」が「分離」してしまうわけです。
分かりやすく言いますと、腰椎の「疲労骨折」です。
腰椎の後方にある椎弓と言われる部分に骨折が起こります。両側に起こることもしばしばあります。
早期発見し治療を行わなければ骨折部分はくっつかずそのままになり、更に分離が両側に起こっている場合、分離症が進行した「分離すべり症」となります。
「分離すべり症」になると腰痛以外にも下肢の痺れや痛みなど神経症状まで発症します。
「疲労骨折」とは、一回の外力ではなく、何度も同じ部分に外力などのストレスを受けた結果「骨折」してしまうことを言います。
ジャンプなどの腰を反る動作や反り腰の姿勢、腰を捻る動作で発症しやすいです。野球のバッティングなども腰の回旋が加わるので原因となりやすいです。
早期発見早期治療をすれば、骨折部は癒合する可能性が高いですが、発見が遅く進行してしまえば、骨は癒合せずそのままになります。
癒合しなくても腰痛が無くならないわけではないですが、分離した腰椎により腰痛を引き起こす頻度が増えたり悪化したりする可能性が高くなり、また「腰椎すべり症」への進行が懸念されますので早期発見・早期治療が大切になります。
分離症チェック項目
1.腰を反った時に痛みを感じるか確認する。
2.腰椎(背骨)を押して痛みがあるか確認する。
3.背中をグーで軽くたたくと腰に痛みが響くか確認する。
腰骨を押して痛みを感じるか確認します。
以上で確認して見てください。当てはまる場合は医療機関や当院を受診することをお勧めいたします。
【注意!!】以下に該当する方は腰痛になりやすいです。(特に10代の方は気を付けてください)
①うつ伏せで、本を読む。スマホを触ることが多い。
②椅子を浅く座り背をもたれる。
③床や地べたに座ることが多い。
④猫背
⑤お腹ポッコリ、反り腰になっている。
改善策
①~③は説明するまでもなくすぐに止めてください。
④は胸部のストレッチをしましょう。
⑤は腹筋を鍛えたり、下肢のストレッチを普段から行うようにしてください。
まとめ
腰椎分離症は成長期のスポーツをしている方の中の腰痛で多くみられます。痛みがあると練習を十分に行うことが出来ません。少し休むぐらいでは治らず、6カ月以上スポーツ復帰出来ないケースもあります。学生時代の6カ月は非常に貴重であります。よって休む期間を出来る限り短縮し分離症とうまく付き合っていくためにも正しい診断をし、早期発見早期治療をするようにしたいですね。
柔道整復師 安達真広